グラフィックファシリテーション/グラフィックレコーディング その2

その1で書いた理由で、グラファシ/グラレコに興味が湧いてきたところに、ちょうど良いご縁でイベントがあるとのことで参加してきました。
その1はこちら⇒グラフィックファシリテーション/グラフィックレコーディング その1

これも自分としては異例中の異例。基本知り合いが居ないところに単身乗り込むなんてことは、屁理屈とか駄々をこねてでも避けて通る性分なのですが、行かないことには事が進まん!と参加申込。

イベントを知ったのは、嫁さんが行きたいわーと行って出掛けた講演会で、模造紙に話を聞きながらサラサラと描く女子が居たの!!と興奮気味に話すのを聞いたのがきっかけ。

グラフィックファシリテーターとかグラフィックレコーダーと呼ばれるらしい。
しかも高専生、しかも女子、と聞いて余計に興味津々。

そのイベントは2月と3月に前後編の2回あって両方参加したものの、周りは経験者がほとんどでしかもお知り合いっぽい。
知り合いも居ない初心者がうっかり単身乗り込んだってことか!と逆に開き直って、とにかく描いてみました。

会社の会議で、ホワイトボードに書いたりするのは自発的にやってるので、その延長線上って言えばそうなのでどうにかこうにか乗り切った感じ。
でも、やってみてこれは性に合ってるな、と珍しく前向きになって、とりあえず有名どころの本を買ったり、その業界ではみんな持ってるペンを買ってみたり(100均でたまたま見つけて赤と黒の2本だけ購入)してみました。

ただ、どうにも引っ掛かる感じがあるんですよ。
議論を意図的に誘導しないためにも構造化しない、とか、
発言した言葉だけじゃなくてどんな感情だったか、も重要なので表情や気持ちも描く

字も必要だけど、絵を主に描くから発言は全部書き留められない。
だから捨てる勇気を持って、大事なところをピックアップして書く

完成したものを見たりすると、確かにその通り。その話がどんな空気、温度感で繰り広げられたかが分かる。分かるような気がする。

でも、会議=議事録、って考えで育って来たので、絵だとパッと見て分かる反面、
抽象的、
曖昧、
どうとでも取れる、
かなり読み手に委ねる伝達手段。
つまり、ある意味誤解を招くリスクが大きい、ネガティブな印象が拭えないんです。

もちろん、発言録で一言一句書き留めたとしても、正確には伝わらないし、そんな大量の文字情報は誰も読まない
そうなるよりは絵で場の空気感・温度感を共有するって考えには何の異論もないんです。
とは言え、だからと言って文字情報よりも、絵の比重を上げてしまうのはどうにも違和感がある…

と思ってたところに、たまたま見つけたこの記事。

プロジェクトマジック:オルタナティブ・ブログ
キレイ系グラフィックレコーディング、あるいはキタナイ系スクライブ:http://blogs.itmedia.co.jp/magic/2017/10/post_43.html

筆者の白川さんは

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのコンサルタント
ファシリテーションを使ってプロジェクトを成功させるのが得意。

とのことで、スクライブについてはこの記事に詳しく書かれてます。

プロジェクトマジック:オルタナティブ・ブログ
黒子として会議を仕切る術、あるいはスクライブ(板書)入門:http://blogs.itmedia.co.jp/magic/2011/10/post-272e.html

ざっくり分けると、グラファシは絵が中心なのに対して、スクライブは文字中心。
加えて、この一文が”捨てる勇気”に踏ん切りがつかない私には非常に響きました。

迷うようであれば何を書いても構いません。書かないよりは書きすぎの方がずっと良いからです。
(出典:https://www.ctp.co.jp/style/facilitation_03_conduct/

議論を可視化するって目的は同じなのに、まさに対極の位置にあるように感じます。

自らを「キタナイ系スクライバー」と呼ぶ白川さんの「キレイ系~」の記事は、モヤモヤと感じてたことがそのまま言語化されてて何度も読み返しました。
その中でも特にこの部分が印象に残りました。(下線は原文には有りません。勝手に書き足しています。)

で、イベントのなかでも少しだけ話が出ていたんだけど、この辺の話は、結局のところ、「何のために書くの?」ということなんだと思う。
「場の活性化!振り返り!可愛い!すごい!クリエイティブ!」を目指すならばキレイ系が素敵だし、「結論を出す、ビジネスでのぶれないコンセンサスづくり、アクションに直結」が目的なら、僕らのやっているキタナイ系のほうが有用。
でも、なんか、両者の隙間というか、いいとこ取りというか、もうちょっとやりようがある気がする。何より、いま現在結構離れているからこそ、間に大きなフロンティアがある。

ファシリテーションそのものもそうなのだけども、「コミュニティ活動でファシリテーションやグラレコを活かすのはできるけど、お硬い会社の真面目なビジネスの場ではやりづらい、浸透させられない」という悩みはある。今日のイベントでも話題になっていた。(もちろん、それにチャレンジしている人、成功事例もあるよ)

その辺、僕らは「書くことをガチなビジネスの現場、特に大企業で活用する」をもう20年やっている。あくまでキタナイ系だけど。変革プロジェクトというちょっと隔離された特殊な状況だからこそ、こういう見慣れない活動を投入しやすい、という事情もある。
なので、うまくコラボレーションすれば、「キレイ系×ビジネス」の領域での活用の道がもっと開けそうな気がする
なのでまずは僕らがキレイ系をもっと理解した方が良いんだと思う。ウチのイベントでグラフィックレコーダーの方に活躍してもらったり、ウチの「新しいものを作る系プロジェクト」に参加してもらったりから始めるのがいいんでしょうね。

まだまだグラファシを知っただけで、スタートラインに立ったかどうかも怪しいですが、どこに向かって走るか、あそこを向いて走りたいってのは見えてきた気がします。

なーんて理屈ばっかりこねてなくて、ひたすら描いて書いて、地道に基礎力付けていかないとどうにもならないんですけどね。

■まとめの絵■

グラファシのイベントに参加して描いてみた。性に合ってるけどもやもや。スクライブがすくってくれそう。なんてことを描いた絵。

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